マネジメントの基礎理論
良いマネージャーの定義とは?
日本の企業は、大学を卒業したばかりの新社会人がどんどんと入社してきて、 1年前まで新卒だった社員はあっというまに先輩社員になってしまうのが常ですよね。
何ならいきなり「じゃ、新卒のコーチ、よろしく」なんて言われて、ろくに心構えもできていないまま後輩を指導する立場を任されてしまうこともあると思います。
もちろん、新卒から「マネージャー職」として採用される人なんて居ないわけで、いつのまにやら流れで「マネージャー」や「上司」になることがほとんどだと思うのですが、果たしてロクにマネジメントを教えられていない若手社員が、後輩や部下を正しくマネジメントできるのでしょうか。
仕事は覚えるものではない
自分の後輩や部下ができてすぐの時は自分が持っている仕事を部下にやらせてみることがほとんどだと思います。
その仕事のやり方を細かく指示し、期日を定め、それまでに頼んだ作業が終われば評価し、また次の仕事を教えて与えていくのがよくあるスタイルではないでしょうか。
たしかに、それによって後輩はドンドンと仕事を覚えていくかもしれません。
ですが果たしてその後輩は本当にその仕事を楽しめているのでしょうか? また、仕事ではなく作業になってしまっていて、考えることを放棄していないでしょうか?
本当に仕事を楽しむためにはどうしたら良いのか、この本によるとこう書いてありました。
社員の内発的動機を高めると、社員は自ら頑張るようになり、長時間労働もいとわわず、そのうえ辞めません。
つまりこの内発的動機を高めることこそが、仕事を楽しむために不可欠な要素で、社員が効率よく稼働するのは会社にとってもプラスです。 マネージャーや上司は、如何にして、部下の内発的動機を高められるかが重要な責務です。
内発的動機を高める、2つのWと2つのR
内発的動機を高め、自ら仕事を楽しむようになってもらうためにはどうしたらよいのでしょうか。
本書によるとそのキモは2つのWと2つのRにあると謳っています。
2つのWとは「What(何を)」「Way(どうやって)」、2つのRとは「Reason(理由)」「Range(範囲)」です。
つまり、冒頭の「これ明日までにやっといて!」という指示の仕方のはWhatしか示しておらず、内発的動機を高めるための要素として圧倒的に欠落していると言えるのです。
WayもReasonも言われていない部下は、この仕事を単なる作業としかとらえられず、全く前向きに取り組むことができません。
どのようにしてそれを解決するのが良いのか、そしてそれは何故行なうのか、どこまでなら自分の裁量でやってよいのか。
優れたマネージャーとはこれをしっかりと示し、部下は自分で考えてのびのびと仕事をするのだそうです。
本書に書いてあった、ハンバーガー屋さんの例を挙げると「パティにケチャップを均一に塗りなさい」という指示はWhatですが「それはハンバーガーをどこから食べても味にむらが出ないようにするためだ」とReasonを伝えることで、部下は「じゃあ玉ねぎもなるべく1箇所に固まらないほうが良いな」と、あたらしい仕事をどんどんと考えついていくのです。
これこそが、仕事を楽しむための本質であり、本当に成長に繋がる考えて仕事をするためのポイントなのです。
2年目以降は読んだほうが良い
日本は否応なしに部下ができ、いつの間にか下を育てる責任を負わされる社会システムになっています。
まともにマネジメントを学ばないままでは、誰も幸せになりません。
すでに上司になってしまった人たちはもちろんこれを読んだほうが良いと思いますが、若手の内にマネジメントを学んでおくことで将来大きなアドバンテージを得ることができると感じました。